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My Brain is Open

第1章より

奇妙なことに数学者にとって時差の計算は難しい問題らしく、電話が鳴るのは夜中だったり、夜明け前だったりすることもある。受話器の向こうの声はつっけんどんで、決して穏やかな口調ではない。

「ベルリンからかけている。エルデシュと話をさせてくれないか」
「まだここには来てないな」
「じゃあ、どこなんだ」
「知らんよ」
「なんで知らないんだ」

それだけの会話で電話は一方的に切られる。数学者は時折りにべもない。

60年以上の間、世界中の数学者たちはそんな電話によって彼らが見ているおそらくは難解な夢を中断させられていた。 これが、ポール・エルデシュの訪問という崩壊の始まりである。電話の頻度は日を追うごとに高まり、空港への召集通知をもってそれは頂点に達する。 こうして、俗界での持ち物をすべて収めた二つの小さなスーツケースをぶら下げた貧相な男、エルデシュが現れるのである。 飛行機を降りた彼は、出迎えた数学者の一団にこう宣言する — マイ・ブレイン・イズ・オープン!

開放中のエルデシュの頭脳を例えるなら、数々の数学的財宝、複雑なカットとずば抜けた輝きをもつ宝石で埋め尽くされたアリババの洞窟であろう。 ただし、アリババの洞窟のように人里離れた砂漠の巨大な岩に隠れているのではない。 エルデシュと彼の頭脳は数学会、大学、そしてシンクタンクと、何十万マイルも航行を続ける永久機関のようなものである。 「屋根が変わればまた一つ新しい証明が生まれる」と彼は好んで言った。

数学者は言う。「エルデシュに会いたいのなら動かないで待っていればいい。そのうち姿を現すだろう」。 間借りしたオフィスで、ゲスト用の寝室で、飛行機のキャビンで、エルデシュは過去のどの数学者よりも多い1500以上の論文、記事、本を書いた。


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